喘息と言えば子供がかかる小児喘息が有名ですが、大人になって一旦治まった小児喘息が再発したり、成人後初めて発症したりすることもあります。喘息の発作は人によっては命の危険を感じるほどつらく、また一度の治療で完治する病気ではないので、原因を取り除いたり薬を服用したりと、発作が起きないよう常に気を使わなければならず大変な病気です。
しかし、そんな喘息にコーヒーが効くと言われているのを知っていますか。今回はコーヒーに期待できる作用や飲む際の注意点を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
どうして喘息になるの?
まず、喘息が起こるメカニズムや原因について知っておきましょう。口や鼻から取り込まれた空気は気管、気管支を通って肺に入りますが、空気に含まれる物質やその他の要因で気管や気管支が刺激を受けると、気管支を取り囲む筋肉が収縮して空気の通り道が狭くなったり、炎症が起きたりします。
そうすると、呼吸がしにくくなる、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)が聞こえるなど、喘息特有の症状が現れます。発作の引き金となる原因は人によって異なりますが、小児喘息ではハウスダストやダニ、たばこの煙や季節の変化などが挙げられます。
一方、大人の場合はストレスや過労、アルコールや妊娠などが原因となることが多いようです。厚生労働省のデータによると、小児喘息の患者の3割は成人喘息に移行すること、また一旦は治ったと思われる患者の内、3割が大人になってから再度発症することもわかっています。
さらに、成人の喘息患者の7~8割は大人になってから始めて発症しているというデータもあり、今まで健康だったのにある日突然、喘息患者となってしまうケースもあるのです。喘息は一度の治療で完治させるのは難しく、何度も発作を繰り返すうちに気管の炎症が慢性化して発作が起こりやすくなるなど、症状が重くなっていく恐れもあります。
健康的な生活を取り戻すためにも、原因の特定や適切な治療を受けることが大切と言えるでしょう。病院での治療は発作を抑える方法と、発作を起こさないようコントロールする方法の2つありますが、今回紹介するコーヒーには、後者の「発作を予防する効果」が期待できます。
コーヒーのカフェインがもたらす作用とは?

現在は吸入ステロイド薬が主流となり、使用頻度は少なくなりつつありますが、実際に喘息治療に使用されている薬にテオフィリンという薬があります。テオフィリンには気管や気管支の炎症を鎮めるほか、気管支周辺の筋肉を緩めて気管を広げる作用がありますが、実はコーヒーの代表的な成分であるカフェインと同じ仲間であり、カフェインにも同様の効果が期待できるとされています。
また、喘息の発作は副交感神経が活発なときに起こりやすいと言われていますが、カフェインを摂取すると交感神経が優位になるので、発作が起きにくくなるとも考えられています。つまりコーヒーを飲むことで、喘息の発作が起きにくい体になれると考えられるのです。
そうなると、「コーヒーを飲むだけで気道が狭くなるのを防げるのなら、薬を飲まずにコーヒーだけでも十分なのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、コーヒーに含まれるカフェインだけでは起きてしまった発作を鎮めることは難しく、発作のコントロール作用に関しても十分とは言えません。
特に発作は放置すると重症化して救急車が必要になることや、命に関わることもあります。発作が起きたら吸入薬など即効性のある薬を使用して、速やかに発作を鎮めましょう。発作予防に行っているハウスダストやタバコの煙、ストレスなどの原因物質を取り除く、医師に処方された薬は飲むなどの方法は続けながら、発作が起こりにくい体づくりのサポートとしてコーヒーを取り入れると良いでしょう。
間違った飲み方にはリスクあり!?

気軽に取り入れられて喘息予防に効果が期待できるコーヒーは、特にコーヒー好きの人にとってはとてもありがたい味方になるかもしれませんが、飲み方によっては体に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
まず最も気をつけたいのが、先ほど紹介した喘息の治療薬「テオフィリン」を服用している場合です。テオフィリンには吐き気や頭痛、食欲不振や動悸などの副作用、さらに重篤な症状として稀ではあるものの、けいれんや意識障害が報告されています。カフェインとテオフィリンは同じ仲間なので、併用することで過剰摂取となり副作用が起きやすくなることも考えられるので注意しましょう。
テオフィリンはテオドール、テオロング、スロービット、ユニコン、テルバンス、テオフルマート、テオスローなどの商品名で処方されています。これらの薬を服用中の場合はコーヒーの摂取は控えるか、医師に相談しましょう。また、喘息の発作は夕方から明け方に起こることが多いと言われていますが、夜間の発作を防ぎたいからと言って、寝る前にコーヒーを飲むのはおすすめできません。カフェインによって交感神経が優位になると寝つきが悪くなり、寝不足を引き起こしかねないからです。
さらに、妊娠中や授乳中の場合もカフェインの過剰摂取は控えましょう。まだ研究中の分野ではありますが、カフェインを摂り過ぎた場合、胎児や産後の赤ちゃんに良くない影響を及ぼす可能性が高いと言われています。もちろん小さな子供にコーヒーを飲ませてはいけません。小児の場合は病院で処方された薬を使って症状をコントロールしましょう。
このように、毎日何気なく飲んでいるコーヒーは喘息患者の人にぴったりの飲み物と言えます。飲み方など注意点を意識しながら上手く取り入れて、より健康な毎日を目指しましょう。
喘息の主な症状や原因、治療法など:アレルギージャーナル