「夕方になると足がパンパン」「生理前になるといつもの靴がきつい」など足のむくみに悩む女性は多いもの。そこでおすすめしたいのが漢方薬です。ゆるやかに体質を改善してくれる漢方薬はむくみや冷えといった女性にありがちな症状に効果的なことが多いのです。ここでは、気になるむくみの原因や症状改善に使える漢方薬について紹介します。
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足はむくみが起きやすい!?その原因とは
むくみは細胞と細胞の間に余分な水分が溜まってしまうことで起こります(※1)。体内の水分は血液やリンパ液として体の中をめぐっていますが、何らかの原因で血流やリンパの流れが悪くなるとその部分に水分が溜まってしまうのです。なかでも、むくみが起きやすいのが足です。足はもともと心臓から遠いので血流が悪くなりやすく、さらに重力の関係で水分もたまりやすくなっています。立ち仕事の人に足のむくみが起きやすいのはこのためです。
むくみ改善にはめぐりを良くすることが大切
むくみを解消するためには滞りがちな血液やリンパ液の流れを改善する必要があります。血流を悪化させる原因を取り除き、めぐりのよいカラダを作れればむくみづらい体質を手に入れられるはずです。普段の生活習慣を見直したり、適度に漢方を取り入れたりするなどして血流をよくしていきましょう。
漢方的なむくみ治療の考え方とは
東洋医学では人の体は「気・血・水」の3つで構成されていると考えます。十分な量の「気・血・水」があり、それがスムーズに体内をめぐっている状態が理想です。
東洋医学的な発想に立つと、むくみは水滞、すなわち水の流れが滞っている状態です。そこで、漢方では水の流れを良くしてくれるような生薬を使い、滞りがちな水の流れを本来あるべき形に戻していきます。
効き方がまったく違う!?漢方薬と西洋薬の違い
普通の薬(西洋薬)は気になる症状にピンポイントで効きます。一方、漢方薬は「気・血・水」のバランスを整えることを目的とした薬です。気になる症状にピンポイントに効くタイプの薬ではありません。身体全体のバランスを調整し、それによって体調を良くしていきます。むくみだけに効くというわけではないのです。たとえば、むくみに効くという漢方を飲んだところ、ついでに生理痛や冷え性が軽くなったというケースもあります。
漢方は身体全体に働きかける薬ですので、体質によって合う薬・合わない薬があります。同じむくみの症状でも飲む人によって飲むべき薬が変わってくるのです。
自分に合った薬を探そう!足のむくみにおすすめの漢方薬
むくみに効く漢方としては、当帰芍薬散、防已黄耆湯、五苓散、桂枝茯苓丸などがあります。どの漢方を飲むべきなのかは総合的な体質によって決まりますので、できれば漢方専門医や漢方薬局のところに行き体質チェックをしてもらってから飲むことをおすすめします。たとえば、冷え症で生理のトラブルがある人は当帰芍薬散、汗をかきやすく水太りしやすい人は防已黄耆湯が合うかもしれません。このように同じ症状でも人によってまったく違う処方があり得るのが漢方薬なのです。
漢方薬の値段はどれくらい?
漢方薬の価格は薬局やドラッグストアによって幅があります。市販薬の場合には1カ月分あたり5,000円を超えてしまうことも珍しくありません。
ただし、漢方薬によっては保険適用のものもあります。医師に診察してもらい処方を受ければ薬代をかなり節約することも可能です。もし医師のところに通うのであれば、漢方専門医を探すのがおすすめです。東洋医学的な体質チェックもしてもらえるので自分に合った処方を受けられる可能性も高まります。ちなみに、日本の漢方専門医は東洋医学会の専門医資格を持っていることが多いです。
飲み合わせには要注意!漢方薬の副作用
自然の生薬からできた漢方薬は西洋薬にくらべてマイルドに作用し、体にも優しいといわれています。ただし、まったく副作用がないわけではありません。なかでも、気をつけてほしいのが生薬の「甘草」による副作用です。甘草は漢方薬ではよく使われる生薬ですが、摂りすぎると手足のしびれや血圧の上昇などの症状が出ることがあります。特に、複数の漢方薬を飲んでいる人は要注意です。また、体質に合わない漢方を飲んだことで副作用が出てしまうケースもあります。こうしたリスクを考えると、なるべく漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してから薬を決めるのが無難といえるかもしれません。
漢方だけではNG!食生活も見直そう
むくみを改善するためには食生活の見直しも大切です。漢方薬はあくまでも補助なので、毎日の生活習慣がガタガタだと思うような効果が出ない可能性があります。冷たい飲み物や塩分のとりすぎに注意しつつ、カリウムを多く含む果物や野菜類、水の流れを良くする黒豆、ハトムギ、小豆などの食材を積極的に取り入れましょう。
適度な運動でめぐり力アップ!
足のむくみ改善には適度な運動も効果的です。足先まで流れてきた血液やリンパ液を心臓の方まで押し戻しているのはふくらはぎの筋肉です。したがって、運動不足で筋力が低下したり、同じ姿勢を続けて筋肉を動かさない状態が続いたりするとむくみが悪化しやすくなります。ウォーキングや下半身の筋トレで足の筋肉を鍛え、血液やリンパ液のめぐり力をアップさせましょう。デスクワークの人はこまめに休憩を入れ、身体を動かすクセをつけることをおすすめします。
漢方薬をうまく使ってむくみを予防・改善しよう
漢方はむくみや冷えといったちょっとした不調を解決するのが得意な薬です。じわじわと効き目を発揮し、むくみ体質を根本から改善してくれます。生活改善と組み合わせることでより効果が期待できるはずです。毎日の暮らしの中に漢方を上手に取り入れて、むくまないカラダを目指しましょう。
※1総合南東北病院健康倶楽部2011年5月号【気になるむくみ(浮腫)の原因】