食物アレルギーは、重症化すると生命の危険を伴うことがあります。
そのため、アレルギーの家族がいる家庭では、食品を購入するときは成分表示の確認が欠かせません。子どもならある程度の年齢になれば自分で気をつけることもできますが、乳幼児ならそうはいかず、周囲の大人が見守る必要があります。赤ちゃんなら特に、はじめての食材を食べるときは慎重にならざるを得ません。
そこで、離乳食の進め方やアレルギーが出やすい食べ物、注意点などについて説明します。
「アレルギー」の症状とは
アレルギーは、体にアレルギーの原因(アレルゲン)になる物質が侵入すると、異物とみなして拒否反応が起こり、排除しようと働くことをいいます。
人により、かゆみやじんましん、くしゃみや咳などのさまざまな症状があらわれます。
これらのアレルギー症状は、人によってなんの症状も起きない人もいますし、健康なときは大丈夫なのに少し体調を崩すと症状があらわれる人などさまざまなタイプに分かれます。
赤ちゃんも、ある特定の物質によってアレルギー症状があらわれることがあります。
赤ちゃんに多く見られるケースでは、食後2時間以内の早いうちに症状があらわれたり、食後6時間以上経ってから、さらには1日後や2日後に症状があらわれたりすることがあります。この間に口にしたものすべてがアレルゲンと疑われるため、自己判断で特定することは難しいです。
初めての子の場合、アレルギー症状が起きていてもなかなか気づきにくいこともあるでしょう。
しかし、重い症状では血圧が低下して意識を失うなどのアナフィラキシーショックを起こすことがあります。このような場合は気道を確保し、早急に救急搬送してください。
アレルギーが出やすい食べ物
赤ちゃんのアレルギーの原因を大きく大別すると、卵、乳製品、小麦に分けられます。そのほかにも、えび、カニ、そば、ナッツ類、ごま、山芋、大豆などがあります。さらには、りんご、キウイ、バナナなどの果物もアレルゲンとなることがあります。
ゼリーを作るときのゼラチンもアレルギーの原因になりやすいといわれています。口当たりが良くなめらかなため、周囲の人が赤ちゃんにフルーツゼリーを与えようとすることもありますが、小さいうちは十分に気をつけましょう。
離乳食が始まると、赤ちゃんが食べる様子がかわいくて年長の兄姉がいろいろなものを食べさせたがることがありますが、勝手に赤ちゃんに食べさせるのは危険なこととよく教えてあげてください。必要であれば、祖父母にも今の時代はこうだから、と説明しておきましょう。
また、アレルゲンというわけではありませんが、「はちみつ」はボツリヌス菌があるため1歳未満の乳児に与えるのは避けましょう。刺し身などの生ものも、細菌に対する抵抗力が不十分なためふさわしくありません。
はじめての食べ物は少量から!
離乳食は小児科医や保健師の指導どおりに進めましょう。欲しがるからと最初から大量に食べさせてはいけません。初めて口にする食品は、ひと口からが原則です。その後、日を変えて2口、3口と増やしていくと良いでしょう。少量だけなら問題なく食べられる食材でも、一気に大量に食べることによりアレルギー症状が出る場合もあるからです。
はじめてのものを喜んで食べる様子を見て、つい続けて食べさせてあげたくなってしまいますが、ここはぐっと我慢してください。まどろっこしいと思われるかもしれませんが、小さいうちは焦らずゆっくりと進めるぐらいがちょうど良いです。はじめて口にする食べ物は、ほかの食材と混ぜることのないよう1種類だけにしておきましょう。
万が一アレルギー症状が起きたときに、原因が特定しやすくなるからです。気をつけたいのは、はじめての食べ物を試すときは、何かあったときにすぐに受診できるよう、午前中の早めの時間帯が安心です。だいたいアレルギー反応があらわれるのは食後2時間以内が多いため、医療機関の診療時間を意識しておくと良いでしょう。
自己判断せず医師や専門家に相談
自分でアレルギーの原因と思われる食材が特定できても、自己判断で除去したり少しずつ量を増やして慣らしたり、ということは厳禁です。家族にアレルギーで苦労した人がいると、各家庭でさまざまな取り組みをして成功した場合は、そのやり方を押し通す傾向があるようです。
しかし、赤ちゃんのうちは、必ず医師や保健師に相談して指示を仰ぎましょう。
食物アレルギーは、くしゃみや鼻水などのほかに、気道の粘膜が腫れて呼吸がしづらくなったり、下痢やおう吐などの消化器に影響をおよぼしたり、さまざまな反応を起こします。アレルギーの出方も強弱があるため、弱い反応では見落としてしまうこともあります。
とはいっても、いつも決まりきった安全な食材だけでは、何がダメで何が大丈夫なのかを見極めることもできません。少しずつ、いろいろな食材を試していくことは必要です。月齢によって食材の種類を増やしていくことも良いでしょう。
迷うことや心配なことがあれば、乳児検診や保健センターなどで専門家に相談することをおすすめします。
【厚生労働省】食物アレルギー・アナフィラキシー